ゆとりある趣味

「子曰く、道に志し、徳に拠り、仁に依り、芸に游ぶ。」
ゆとりある趣味があって初めて人間に「真の深み」が出てくる(論語より引用)

 

ふと目についた言葉です。論語ですから深い意味があるのでしょうが、ゆとりある趣味という言葉に反応したのですね。
私自身、時々において選んだ道をまい進し、人様に迷惑をかけないようにと駆け抜けてきました。振り返れば家と仕事場の往復だけで今まで来たように思います。家にいるのが大好きですので、多くの皆様がされる旅行や、色々な分野での鑑賞などの経験も殆どなく、遊んでこなかったことに対しては全くの後悔もありませんが、そろそろ趣味に走ってもよい年になったのかなぁ~と思っていたところでした。

 

この本には、人道を踏んで世渡りをし、徳によって世に対処しなければならない。
徳とは、自らやましいところがなく、外に利を求めて他へ害を及ぼさないようにする心情である。
仁とは博く愛することで、他へ幸福を分かち与えようとする心情である。
よって、道に志すと同時に、徳と仁を踏まえなければならないのであるが、趣味をもって余裕を身につける必要がある。と書かれています。
わが人生、自身で選んだ道をコツコツと歩んできました。徳も積んでまいりました。
おかげさまで周りの皆様からは、温かいお言葉や優しくお声をかけていただき、いつも幸せを感じています。
これからは少しずつ自分自身を深めるために、残りの人生に余裕を持つためにも、趣味を持たなければと背中を押されたような気がいたしました。

 

しかし、一口に「趣味」と言っても、仕事以外何もしてこなかったのですから、何をすればよいのかわからないのが正直なところです。陶芸?書道?三味線?興味があるのはたくさんあるのですが、どれもこれも私にはできないような気がしてしまいます。
何かをするには、一歩ハードルを越えなければいけませんが、その勇気が湧いてくるまで、じっくり選んでより充実した人生を歩むことができればと思うこの頃です。

 

久保田 泰子