日本人は「優しい」???

日本人は「優しい」と一般に他国の人は口を揃えます。
確かに、それぞれ個々に優しい性格を持つ人が多くおられると思います。
でも世界にもそういう国はたくさんあるのに、日本が「優しい」国という印象を持たれるのはどうしてでしょう。

「和」という言葉が日本にはあります。世界で言う「ハーモニー」という言葉の意味と似ているように思いますが、日本の「和」は人とひとの間の絆として初めから存在しているもの。合わせようと思ってもたらせるのではなくて、はじめから心を分かち合っているから「和」が存在しているもの。
「ハーモニー」は一人ひとりがあることについて参加するのに当たって、合わせようと思い立ってもたらさせるもの。と違いがありました。「和」とは自然に培われたものなのです。

日本の良さとして細かな所に目の届くサービスを心掛ける企業、いやでもルールなら守るのが秩序と考えるのが日本人のマナー、さらにどこかで財布を落としてしまっても、交番に届けてくれる人がいて見つかる可能性がある。治安が良くて、礼儀正しく、丁寧な日本人の対応や習慣に触れると「優しい」国と印象を持たれるのでしょう。

一般に他国の方が触れる日本人の優しさは、親切心からでる優しさなのでしょうか。
しかしこのところの日本人は状況が一変してしまっているように思います。

現代の日本人は「いかに他と相容れずに過ごせるか」「いかに他と関与せずに生きるか」という風に、変わっていっているように感じます。
「他人に可能な限り迷惑をかけないように!」と教育を受け、当たり前のこととして身についている私たち日本人ではありますが、反対にそれが却ってエスカレートして、誰もがかかりたくて病気になっているわけでもなく、気遣った上で帰省をしても、どうしてその人達を責める人たちがこんなにも多くおられるのか。その大学の学生ということだけで、バイト先を断られる。なんて!
日本人の「優しい」はどこに行ってしまったのだろう。と、首をかしげてしまいます。

本来の日本人は、病気になられた方をお気の毒だと思い、命をかけて介護をしてくださる医師や看護師さんたちには、「心からありがとう!!」と思うのが日本人だと思っているにも関わらず、未だにバスに乗せてもらえない看護師さんがいる話を聞くと腹立たしくなると同時に悲しくなってしまいます。

日本は「心と和の国」です。
その人その人だけが持っている心を大切に、日本人の心の奥に潜んでいる「優しい」「気遣い」「気配り」「思いやり」などを見つめなおして、昔からの日本人の心を取り戻してほしいと切に願うばかりです。

久保田 泰子